遺産分割協議書

遺産分割協議書の手順および作成

相続人の確定」、「相続財産の確定」が終わると、いよいよ遺産の分割方法について協議します。前にも述べましたが、相続財産をどのように分割するかは、遺言書がある場合にはそれに従います。遺言書がない場合には、誰がどの財産をどれだけ相続するかを相続人間で話し合って決めなければなりません。この話し合いを「遺産分割協議」といいます。
また、相続人全員の参加が原則です。これは公平を担保する為です。したがって一部の相続人が不参加の分割協議は無効になります。遺産分割協議は、相続人が全員参加し、全員同意しなければ成立しないのです。ただし、全員が一堂に会して協議するほか、相続人の代表者が作成した原案を持ち回りにして同意を得たり、遠隔地の相続人と書面を通じて協議してもかまいません。

遺産分割協議の留意点

特別受益分

相続人の特定の人が生前贈与や遺贈を受けた財産のことで、これらは相続財産に加算して、計算します。例えば、長女は結婚祝いに5000万のマンションを買ってもらった場合は、これを相続分として考慮するということです。持ち戻し免除の有無も確認しましょう。また、相続時精算課税などの申告をしている場合も注意が必要です。

寄与分

被相続人が生存中に、財産の維持・増加に特別寄与した相続人がいる場合に、その寄与分を先に協議して差引き、残りの財産を改めて分割協議するということです。

特別寄与料

被相続人の介護などを無償ですることによって財産の維持・増加に貢献していた相続人以外の親族が、相続人に対して寄与度に応じた金銭を請求するものです。※内縁の夫や妻は対象外(たとえば・・・長男の妻、孫の妻、いとこ など)
遺産分割協議書への記載は必要ありませんが、請求があった場合、合わせて協議が必要になるかもしれません。

遺産分割の方法

現物分割

遺産をそのままの形で分割する方法。例えば、長男が土地・家で、長女が預貯金

換価分割

不動産等を売却して現金に換えて、相続分に従い分割する方法

代償分割

1人が価値の高い財産を相続し、相続分を越えた部分を代償として支払う方法

共有分割

相続者全員が共有で保存する方法。例えば、相続財産のうち、別荘だけは共有名義にするなど

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議が成立したら、「遺産分割協議書」を作成します。これがないと、遺産分割協議 自体が成立しないというわけではありませんが、相続した土地・建物の所有権の移転をする際、協議の結果を証明する書類が必要になりますし、後日のトラブルを避けるためにも合意した証拠として作成しておくことをお勧めします。

遺産分割協議書の書き方

書式
  • 書式は自由です。
  • 署名以外はワープロ作成でもままいません。タテ・ヨコ、大きさ、筆記用具の別も指定されていません。
  • 預貯金は、1つの金融機関に複数口座がある場合には、口座の種類・口座番号・残高を明記する。
  • 土地及び建物は、不動産の表示登記簿謄本の記載をそのまま転記する。
  • 署名押印は、相続人全員が署名し、実印で押印します。
  • 遺産分割協議の結果、遺産を相続しない人も署名押印しなければなりません。

注意
協議書が数頁に及ぶ場合、1枚目と2枚目、2枚目と3枚目の用紙と用紙のとじめに割印を押されなくてはなりません。
また、遺産分割協議書は相続人数分作成して各自保管します。しかしながら、不動産登記など名義変更手続きに必要になる場合がありますので、名義変更用として多めに作成しておくのがよいでしょう。

遺産分割協議が成立しなかった場合

相続人間の協議が調わないときや、初めから協議に参加しない者がいるときは、家庭裁判所に遺産の分割を申し立てることができます。家庭裁判所は、普通これを調停手続で行い、調停が成立しなければ、審判手続きで行うことになります。
例文
TOP